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研究 【Study】

平成14年度 研究委員会活動報告

はじめに

 研究委員会は、学校事務職員の学校経営参画における重要な職務のひとつとして学校財務事務の研究を継続的に進め、13年度の研究大会において「財務事務と情報管理」について提案しました。 

 情報管理については、千事研としてはまだ始まったばかりの研究内容ですが、校内における情報管理の体制作り等は今後重要な課題となり、事務職員一人ひとりが専門性を発揮し、実践していくことにより学校経営参画につながるのではないかと考えます。

 平成14年度は、学校教育の進展及び教育環境整備に寄与できる総合的判断力を持った事務職員を目指し、この「情報管理」について継続研究をしました。具体的な研究内容としては


としました。
 
 
財務会計マニュアルの作成

 教育諸条件の整備のため学校では、学校予算(公費)をはじめ保護者負担金(私費)等様々なお金が扱われています。昨今、校内の会計処理において、金銭における不正行為が頻発し、県民の信頼を失っている状況があります。学校では多数の集金業務を行っていますが、それらの取扱規程が存在しなかった事も数々の事件を引き起こした要因のひとつであります。

 研究委員会では、会計処理の取扱方法を定め適正な会計処理を行う事が、県民の信頼を一刻も早く回復するための方策であると考え、「財務会計マニュアル」制定の為の骨子を作成する事としましまた。また、平成14年4月に施行された「小学校設置基準」「中学校設置基準」における情報提供の必要性からも透明な会計処理システム作成が急務であると考えられます。

 平成13年度千事研大会の「財務事務と情報管理」のなかで、予算委員会について再提案しました。予算委員会は、学校経費を適性かつ効果的に執行するため、組織的に検討する機関であると考えます。また、予算委員会では学校教育目標達成のため、あらゆる方面から学校経費を考え、公費・私費を総枠としたすべての会計を明らかにし考える必要があります。しかし現状としては、公費に重点が置かれている学校が多いと思われます。そこで、公費・私費を総枠とした学校経費の取り扱いについて、会計の原則や説明責任を果たすための視点について研究しました。

1.業務(経費)の正当性

  • 業務及び経費が適正であるか予算委員会で検討する。
  • 責任の所在を明らかにする為に集金業務の役割分担を明確化する。

2.収支の透明性

  • 出納簿以外に支出負担行為において承認印等を複数から徴し、また校内で監査役を指定し、制度の上からも犯罪が起こり得ない環境を整備する。

3.監査体制の確立

  • 監査役をおき、また保護者等を交えた決算報告会等を開くことにより監査体制の確立を図る。


*学校徴収金取り扱い要綱(モデル案)の作成

  • 役割分担について
    1. 校長の役割
    2. 教頭の役割
    3. 事務職員の役割
    4. 教員の役割
    5. 保護者(経費を負担する者)の役割
    6. 予算委員会の役割

  • 留意点
    • 保護者負担軽減(保護者に過重な負担にならないか)
    • 説明責任
    • 情報提供
    • 透明性

  • その徴収金が、義務教育無償の原則と相違していないか。
  • 法や条例で禁止されている徴収金に該当しないか。
  • どうしても学校が徴収しなくてはならないものなのか。
  • 徴収金額、使途が適正であるか。
  • 計画的に正しい執行ができ、決算ができるか。
  • 公費との関係が十分に配慮された上での徴収であるか。
  • 簿記、領収書などの会計上の最低限の処理ができるか。


  • 経費の流れの検討
  • 諸様式 について
    1. 出納簿
    2. 収入に関するもの
    3. 支出に関するもの
    4. その他
  • 策定にあたって留意する点
    • *未納者に対する救済制度の確立 (生活保護等をうける権利の周知)


《まとめ》
 
 「公費・私費を総枠として予算委員会で取り扱わなければならない」ことに関しては十分研究してきましたが、私費については公費以上に地域差・学校差があることがわかりました。しかし財務については私たち事務職員が中心となって体制を整えていく必要があると思います。そのためにも、各学校での適正な財務運営ができるよう「財務会計マニュアル」を早期に作成したいと思います。


 
 
共同実施の研究

1.はじめに

 平成10年9月の中教審答申により「学校の規模や実態に応じて、学校事務を効率的に執行する観点から、特定の学校に複数の事務職員を集中的に配置して複数校を兼務させることや学校の事務を共同実施するセンター的組織を配置すること等により、学校の事務・業務の共同実施を推進するための方策を検討すること」との提言がなされました。続く平成11年、義務標準法施行令第5条第4項「事務処理の効率化に関する特別な研究が行われていること」の学校に事務職員の加配が行われ、千葉県では平成11・12年度と市原市立有秋中学校に事務処理の効率化に関する実践協力校として1名が配置されました。

 次いで平成13年4月、義務標準法第15条第3号「多様な教育を行うための諸条件の整備」に関して事務処理上特別の配慮を必要とするものとして政令で定めるもの」が加わり、同法施行令第5条第3項「当該学校を含む複数の義務教育諸学校において多様な人材の活用、情報化の促進等により多様な教育が行われる場合に当該学校がそのための事務処理の拠点となっていること」の場合に加配を行うとされました。そして、平成13年度から平成17年度の5年間に「きめ細かな学習指導や教育の情報化の支援等のため事務部門の強化対応を行う学校」へ726名の事務職員が加配されることとなり、千葉県においても14年度までに6名の加配がなされています。

千事研研究委員会はこれらの経過を踏まえ、平成14年度より共同実施の研究を進めました。


2.研究の経過

[共同実施によって学校事務はどう変わっていくのか]

ここ数年、全事研はじめ各研究大会等で共同実施の研究が発表されています。共同実施とはこれからの学校事務職員のキーワードでもあります。
そこで千葉県の加配校の現状を把握し、他県の共同実施の取り組みの状況を学び、加配のない共同実施についても視野に入れながら今後の学校事務のよりよき発展のための方策と位置づけ研究を進めてきました。

『平成14年度 千葉県の加配の状況』

11・12年度 市原市立有秋中学校
  • 有秋中学区の共同実施。(詳細は13年研究大会提案)13年度以降は有秋中学校区を含む姉崎地区全体に地域を広げ、給与・手当確認や就学事務等の資料の作成、研究を行っている。(月1回)

13・14年度 市原市立五井中学校
  • 臨採1名。プロジェクト会議で事務処理方法の統一を目的に周辺校5校7名(1校複数配置)で共同実施を行う。(月1回)

13・14年度   四街道市立中央小学校
  • 臨採1名。校内の事務部門強化と市内17校5ブロックに分け事務の効率化と学校間連携を目指し共同実施を行う。

13・14年度  東金市立東金中学校
  • 13年度臨採、14年度新採。東金市4中学校で給与・旅費・各手当等の確認や事務職員のOJTの共同実施を行う。(月1・2回)

14年度  千葉市立轟町小学校
  • 臨採1名。特色ある学校づくりのために校内予算や学校運営に関わり教員の事務処理軽減に努める。

14年度  柏市立中原小学校
  • 新採1名。きめ細かな学習指導や教育の情報化の支援等のための事務部門の強化のため学校改革に対応できる事務部門の体制確立を目的に行う。

14年度  佐原市立佐原中学校
  • 臨採1名。公文書の適正化等校内の事務部門を強化し、教員の事務軽減に努める。市内の共同実施として研修の強化と事務処理資料の提供を行う。


 県内の加配校の状況をみると、共同実施や校内の事務部門の強化等実践の形態は様々であることが分かります。有秋中学校での共同実施については、13年度の研究大会でも提案されました。加配がなくなった現在においてもさらに地域を広げ、共同実施に取り組んでいます。加配のない学校間の連携は、今後、県内どの地域においても実践可能な方法であり、そのひとつの実践として成果が期待されます。また、共同実施を行っている加配校については、共同実施の組織や事務処理の内容を調査し、学校経営における有効な手立てとして今後に生かしていきたいと考えます。


『他県の共同実施の取り組みについて』

◎静岡県富士宮市立大宮小学校の実践
第7次定数改善により平成14年度に加配されました。学校の事務・業務の効率化、合理化を目的とする集中処理の実践を進め、教育職員が指導業務に専念できるよう事務の負担軽減を図り、円滑な学校運営を目指す目的で実践推進協議会(8校の事務職員)と運営委員会(校長・教頭・事務職員・教委担当者)が設置されています。

 加配事務職員は、拠点校に勤務しながら連携校を順番に訪問し、各学校で必要な事務処理を行います。それ以外は拠点校で事務の集中処理をします。加配された事務職員は、20年の経験者であり、導入がスムーズであったとも考えられます。しかし、静岡県は「これからの学校経営における事務職員の役割」を明記した平成5年の標準的職務の通知を機に今日に至る実践で、「学校事務改善検討委員会」を設定し、学校事務見直部会・諸規定見直部会・学校事務電算化部会の調査・報告から、学校運営改善が進められ、このような背景から共同実施が展開したと考えられます。
◎宮崎県における共同実施
平成11年から事務処理の効率化を目的に研究加配1名を受け、研究実践を開始しました。平成12年度は、3地区を指定し3名の加配を受け、県内を近郊地域型・山間地域型・広域地域型に分け引き続き研究を進めました。

 平成13年度は、都市型モデルも加え19名の加配を受けた19地区と、県の補助金を受けた加配のない共同実施の実践10地区の29地区でスタートし、平成14年度には、さらに24名まで加配を増やし、24地区で実施され、全国最多の加配を受けながらまさしく県をあげて取り組みをしています。

 宮崎県が、他と異なるのは、当初から「共同実施」を単に学校間の連携ではなく、「組織形成」という観点から捉えて、拠点校が連携校のセンター的役割を果たしていることです。このように、全県下で共同実施に取り組んでいる宮崎県は、今後の千事研における「共同実施」の研究にも役立つと考えます。


『共同実施を考える』

 共同実施とは、学校の自主性・自律性の確立や教育環境をとりまく変化に対応するため、複数校の連携によって、学校事務機能を強化し、効果的な学校運営の推進のため学校経営へ参画することだと思います。

 共同実施を実践するためには、事務職員が標準的職務により多く関わり、教員が本来の指導業務に専念できるように教員の事務部門の負担軽減を図る目的があり、連携校である事務職員同士も相互支援の目的を同じにすることが必要だと思います。

 そして、共同実施により効率化が図れる学校事務・業務内容の洗い出しを行ない、共同実施を組織化し、リーダーの企画・判断等によりスケジュールの調整等共同実施体制の策定が求められます。

 また、円滑な学校運営のために、情報の共有化や活用によって、子どもの教育のために学校経営へ参画することが必要です。

 その結果連携によるメリットは、
  1. チェック機能が働くこと。
  2. 各学校の事務部門が強化(教員の事務負担軽減)されること。
  3. 事務処理の平準化が図れること。
  4. 情報の共有化がなされること。
  5. 若年層のOJT(職場内研修)も充実すること。
  6. リーダーが養成されること。

等が挙げられます。

 しかし、メリットだけではなく、今後は個人情報など細心の注意を図り、解決すべき問題点や課題を明らかにしながら共同実施に取り組み、学校事務の改革や学校運営の効果を高めたいと考えます。
 研究委員会は、千事研としての共同実施の目的を受け、方向性を下記の4項目としました。
  • 学校間の事務の平準化を図り、各学校に安定した事務組織(共同事務組織)をつくること。
  • 組織的な事務処理体制を構築し、より質の高い学校事務を展開すること。
  • 事務処理の効率化を図り、積極的に学校経営へ参画する時間をつくること。
  • 標準的職務の総括する範囲へより多く関わり、学校事務の改善を推進する中で教員の負担 軽減を図り教育の支援をすること。


3.今後の課題

 現在、県内の共同実施の実践が始まっています。共同実施を推進するには、兼務発令の問題・服務や人事のあり方等さまざまな問題もあります。

 そのために、共同実施の組織や共同事務処理の内容などの精選をし、学校の事務・業務全般の支援へ発展する可能性を追究し、千事研全体のレベルアップを図りたいと考えます。

 千事研会員に、他県の状況や千葉県の実態について研究委員会が得た情報を提供し、学校になくてはならない事務職員として、存在を明らかにするために、千事研としてどのように共同実施の研究を進めていくか共に考えていきたいと思います。

 
 
千事研ホームページ


研究内容および課題


 千事研ホームページを開設するにあたり、本年度は運用のガイドラインや方法の策定、ホームページの仕様の決定等、基本的に設計面を重点に置き研究を深めました。

 ホームページ運用上のガイドラインは、「ホームページの管理、運営体制」、「ホームページ上で公開する情報の基準」、「管理運営上の禁止事項」等について研究委員の立場から指針を考案しています。

 ホームページ開設の利点は、同時に大量のアクセスがどこからでも可能な点ですが、これは不特定多数に情報を公開することであり、どのような意図をもって受け止められるか不明であるという欠点でもあります。発信する情報の取り扱いには、細心の注意が求められます。

 運営方法については、IT時代を反映して、どのようにすれば適切かつ効率的に運営が行えるか、正式公開後も含めて考察しました。具体的には、原稿段階からのデジタルデータ化、通信連絡におけるeメールの活用などが手段として考えられます。また、ホームページにおけるデータ作成にあたっては、基本的情報ソースを千事研各部に頼ることになるので、運営に際しては各部との連絡調整にも合意と方法を確立する必要があります。これらは、組織や担当者にとって、スムースかつ安全で手軽な方法を確立すべく更に考察を深める必要があります。

 ホームページの様式については、ホームページの表紙であるTOPページのデザイン、レイアウトの作成を行いました。一度公開したTOPページのデザイン変更を含むような大幅な変更は、リニューアルと扱われることも多いので、千事研にふさわしいデザインはどのようなものか探っているところです。基本理念は、無駄に華美・派手な演出は重視せず、必要な情報を探し易く、見易いものを心掛けています。また、ホームページはそれ自体が数多くのファイルの集合体で構成されていますので、作成、メンテナンス、更新がしやすい構成が求められます。ストックデータの管理を含めて効率的な作業を行える環境を心掛けていきます。

 千葉県教育委員会を含む県庁でもホームページの活用は電子県庁構想の中核として位置づけられており、県の発表物も素早くホームページ上で公表されています。一例として、今年度の人事委員会の給与勧告も文書として学校に届く前に県庁ホームページ上で公開され勧告内容をダウンロードして入手することができました。

 官庁・民間を問わず、ホームページにおける公開は公式な広報発表であるという認識は既に一般化しています。千事研ホームページが千事研の公式な広報活動を担えるものになるよう、研究を続けたいと思います。

 




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