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研究 【Study】

第43回 千葉県学校事務研究大会

平成15年10月29日
千葉県文化会館・千葉県教育会館会

主な内容

第43回千事研研究大会報告
・文部科学省行政説明
全体研修会  「子どもたちの教育の支援と財務事務」 千事研研究委員会 
第一分科会報 「やっぱり"学校事務"・・・!」 市川・浦安地区
第二分科会報告 「未来へアクセス」 山武地区
第三分科会報告 「新時代への学校事務職員のあるべき姿を求めて」 夷隅地区

研究究大会報告

 去る10月29日、さわやかな秋晴れの中、千葉県文化会館をメイン会場に、第43回千葉県学校事務研究大会が「教育を生かす主体的な学校事務のあるべき姿を求めて」をテーマに、県内外から1137名の参加者を迎え、盛大に開催されました。開会式の挨拶で、廣田会長は「千葉県行政改革の指針が示される中、学校事務を取り巻く状況が大きく変わろうとしています。11の出張所が5つの教育事務所に再編される予定です。私たち学校事務職員のあり方として、主体的で確実な事務を行うように心がけていかなければならないと考えます。特に地域との連携や、学校間の協働の仕事を積極的に行っていく必要があるのではないでしょうか。これから講演していただきます文部科学省の行政説明では、@義務教育費国庫負担問題 A県費負担教職員問題 B県と政令指定都市との役割分担の特に3つの観点から、聞いていただきたいと思います。そして、本日の成果を明日への課題として、今後日常の実践に生かしていただきたいと思います。」と述べました。
 引き続き、来賓の方々から御挨拶をいただき、その後、文部科学省初等中等教育局財務課 定数係長坂本淳一氏による講演がありました。
 全体研修会では、千事研本部から、第一次中期研究計画の総まとめとして、財務事務についての提案があり、引き続き市川・浦安、山武、夷隅地区の各地区の提案が分科会形式で行われ 行財政改革の中、学校事務職員の根幹そのものが揺るぎかねない厳しい状況にあります。このような中におかれ、今大会は、参加者の意識が高まり、意欲に満ちあふれた研究大会であったと感じました。

全体研修会 

「子どもたちの教育の支援と財務事務」
−Plan Do See みんなの願いをひとつにつないで−
千事研研究委員会

 千事研研究委員会は、平成7年度より、研究委員会の中期研究計画の中から、財務事務に関する研究を進めてきました。また、学校経費は、公費の執行のみでなく、私費も含めた総枠と考え、学校徴収金についても、平成14年度から研究に取り組んできました。
学校経営は、学校教育目標を効果的に達成しようとするため、Plan(目標・計画)Do(実践・執行)See(評価)のマネジメントサイクルの実践が日々行われています。教育活動の裏付けとなる学校経費について、全職員で情報を共有し「配分予算」の分野に止まらず、学校運営上必要とされる全ての学校経費について検討することが必要です。学校における財務の意義を考え、「今、何が本当に必要なのか」を見極め、教育目標を具現化するための適正な財務事務が求められています。   また、私費といわれる学校徴収金は、「学校の教育活動上必要となる費用の中で、受益者負担の考えに基づき、保護者から徴収し保護者の信託により学校が執行する経費」です。したがって保護者の信頼を損なうことのないよう、いつでも説明ができるような執行を心がけることが大切です。
私たち事務職員が会計の原則を熟知し、適正化、透明性を図りながら、効果的な財務管理を進めることは、児童生徒が安全で心豊かな学校生活を営む支援となります。その具体的な方法として「学校財務事務取扱要綱」の制定は有効です。また予算委員会は、意志決定のために必要な全教職員の意見や情報を収集、処理していくのに不可欠な機関と考えます。職務内容の位置付けを背景に予算委員会の設定に向けて努力していくことが大切だと思います。
助言者からは、私費についての取り扱いのポイントとして、保護者負担の軽減、学校財務の取り扱い体制を確立し、責任を明確にすることが大切である等の助言をいただきました。
 私たちをめぐる状況が大きく変化しても、主役である子どもたちの教育を支援するという原点を忘れることなく努力していきたいと思います。





第一分科会 市川・浦安地区

「やっぱり"学校事務"・・・!」
−職務標準などをとおして、市川市なりに「学校事務職員」の仕事を考える−

 教育改革や公務員制度改革、義務教育費国庫負担制度の見直し等の様々な課題と直面している中で、市川市学校事務職員全員から3回にわたり、意識調査のアンケートを行いました。その中から見えてきた現状と課題をふまえて、「学校事務職員」という職業の将来を想像し、「これから何をすべきか」について考えました。
市川市は市費と県費の事務職員が複数配置されており、ひとつの研究会で実務を中心とした研究・研修活動を継続してきましたが、市費事務職員の一部がパート化され、研究会活動や校内での事務分担などが大きな課題となっています。そのような現状の中で、市川市学校事務職員の一般像についての調査結果を集約すると、「子どもたちとのふれあいを喜びと感じる一面、事務室環境や職務内容が不明確なことなどに不安を感じている。理想は効率的に仕事を行い、学校運営に役立つ事務職員を目指したい。それには研修の充実を望む。」との結果になりました。
 一方、職務標準についての調査では、「意識が向上し、学校運営の活性化にもつながると思われ、必要不可欠なものであるが、現状では研修の体系化等の課題も山積している。充分に協議し、実効性のあるものにしてほしい。」また、共同実施については「複数の学校間で共同の事務処理を行うことによって、効率化は可能になるが、所属校での存在感が希薄になり、人員削減につながるようでは賛成できない。」との結果でした。
 いずれの課題も、学校事務職員一人ひとりが「誇り」と「自覚」を持ち、二人制の状況の中で常に向上していく意識を持つことが重要だと考えます。そして、子どもたちが十分に学習できる教育環境を保障していくためには、前向きに取り組む姿勢が必要ですとの提案がありました。
 助言者からは、「平成15年3月25日に通知された『市町村立学校における事務職員の職務内容の位置付けについて』が各市町村へ通知されている今こそ、学校事務の“職”というものを明確にしなくては今後事務職員の将来は暗いものになるだろう。市費・県費と考えず、複数の事務職員が学校の中でどのように貢献できるのかが問われている現状において、学校経営の一翼を担っているということをしっかり捉えてほしい。」とまとめられました。

第二分科会 山武地区

「未来へアクセス」
−コンピュータ活用と事務室経営案−

 地方分権、教育改革、公務員制度改革の大きな波が押し寄せる中、学校事務職員の未来が確かなものであるためのとりくみとして2つのテーマをとりあげました。コンピュータの活用は学校事務の効率化の可能性を拡大していくものであり、事務室経営案は標準的職務の通知を生かす学校経営に参画するための手段、仕事宣言として大きな意味を持つものです。山武地区では、ワープロの時代より旅費計算ソフトの開発に熱心であり、現在は管内すべての小中学校で同一の旅費ソフトが使われ、その後約10年をかけ、複数のソフトの利用に至っています。コンピュータの利用により事務を効率化し、生み出された時間で学校経営の参画に重点を置いた仕事をしていくことが可能となります。
事務室経営案はあくまで手段であり目標は学校経営へ参画し教育目標実現のため何ができるかを考え実践していくことにあります。コンピュータ利用による事務の効率化、法令財務等の専門的な職員としての資質向上、事務室経営案の作成を足がかりに学校に必要な事務職員を目指し、研究・実践を重ねていくことが未来へアクセスする姿だと考えます。
 助言者から、何のためにコンピュータを利用して効率化を図るのか、何のために事務室経営案を作るのかを考える。双方目指すところは、子どもたちのためにより良い学校経営がなされることである。作成に当たっては難しく考えることはなく、年度当初に自己目標を決めることと事務室経営案はリンクをしてくるはずであり、年度末には自己目標を達成できたか否かの点検評価をする。事務室経営案は学校運営を円滑に進めるために、校外へは地域保護者への情報提示資料として、校内には事務職員がどんな仕事をしているかを知らせるための仕事宣言として必要である。標準的職務の通知が学校の中でどこまで生かされるか、教育目標をより具体化しそのために何ができるか、それらを考えること、意識を持つことが学校経営への参画と言えるとのお話がありました。

第三分科会 夷隅地区

「新時代への学校事務職員のあるべき姿を求めて」
−意識改革への第一歩−

 夷隅地区において事務職員の職場における現状を調査したところ職務内容に満足していない職員が多いことがわかり、求められる事務職員像を考察し、意識改革を図っていくための研究が平成13年度から行われました。
 まず、めざす事務職員像を次の4つと考えました。@学校経営に参画することのできる事務職員A学校事務職員としての資質を高めるために積極的に研修に取り組み、自己研鑽のできる事務職員B広い視野で学校事務を捉え、地域に開かれた教育の推進に寄与できる事務職員C専門性を生かした情報提供を推進できる事務職員。その手だてとして、力量を高めるための研修の推進、専門性を生かした情報提供を目的とした事務だよりの発行を中心に研究が進められました。
 研究の成果としては、事務職員一人ひとりが目標を持ち実践することで、職務に対する意識の高揚が図られたこと、夷隅地区の教職員全員に向けた事務だより「爽風」を介して、事務職員の職務をアピールできたこと等があげられました。それにより、事務職員を事務的な仕事をするだけの職員から、児童・生徒の教育を支える学校職員として認識してきている教職員が増えていることがわかりました。夷隅地区において一番必要とされていた意識改革への第一歩を踏み出し、更に前進できるように、常に目的意識を持った研究へと発展させていきたいという提案でした。
 助言者からは、「教職員の意識改革が叫ばれているが難しいという現状があり、夷隅地区の提案はそのやりにくい部分にメスを入れたという点を評価したい。更にもう一歩踏み出すために、学校の基幹職員として積極的に学校経営に参画すること、主任としての位置付けがなされるためには関係機関への働きかけも必要である。職の確立や職務標準は専門的な職員としてだけの意識ではなく、学校職員として考えてほしい。」と講評がありました。



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